問題点その3?

3というよりは、1の続きっぽいですけど。

敵対的買収への新株発行による対抗は、厳格に評価する必要があります。安易に認めると、株式会社という制度自体の否定につながるためです。

取締役は、株主から、株価が上昇させる事を目的として選ばれます。なんか、間をすごく飛ばしてますけど、建前はそうなっています。
だから、株価を上げることのできた取締役はクビにしにくく、株価を下げた取締役ほどクビにされやすいシステムにすることが望ましいと言えます。

ところが、新株発行で、議決権を左右するほど大量の株式を発行するには、株価が安いほどかかる費用も少なくてすみます。株価が高いほど、膨大な資金が必要になります。

つまり、敵対的買収に対しては、とにかく無茶をやってでも株価を下げて、新株を発行すれば良いということになります。

さらに言えば、会社の取締役になったら、まずはとにかく株価を下げて、株主から批判されそうになった頃に社長に大量の新株を発行すれば、簡単に会社を私物化できることになります。

取締役本来の任務に忠実なほど地位が不安定で、任務に反した事をした取締役ほど自己保身がしやすい、そんなシステムでは株式投資などできません。

かつてソトーが敵対的買収にあったとき、ソトーの取締役は配当を増やして、株価上昇を図るとともに、買収後に会社が解散されないようにしました。これまで大して気にしていなかった「株式会社の建前」に回帰したわけです。
これによって、敵対的買収を仕掛けた投資ファンドは、当初の目的を達成し、役員陣を高く評価して去ったか、友好的関係を築いたかしたと記憶しています(調べろよ>俺)。

今回の新株予約権は、そのような努力を否定するものです。これを許せば、最悪、日本の株式市場から莫大な資金が流出し、日本経済に致命的な打撃を与えることも十分に考えられます。

だからこそ、新株の発行には「資金需要」というハードルが設けられているのです。現在のルール(判例ですが)ですら、甘過ぎるという論者はいます。今回の新株予約権は、電波法が許しても、会社法が許してはいけないものです。