子会社化の定跡

いや、このブログは別にホリエモンを支持しようなんてこれっぽっちも思っていないのですが。フジサンケイグループの資本政策が許せないだけです。
支持していない証拠として、ライブドアがリーマンブラザースに出した転換社債を解説すべきなんでしょうが、難し過ぎて私にはわかりません。ちょっと見にはかなり妖しげだったのですが、LFと比肩するほど怪しいかどうか、評価できるだけの知識は持ち合わせていません。
ということで、まだLFの新株発行の続きです。

普通、完全子会社化を目指す場合、先に新株を引き受け(発行させ)、絶対多数であることを明確にしてからTOBをかけます。そして、TOBに応じない株主は、見捨てます。
一見ひどい話のようですが、それがこの業界のお約束です。

にも関わらず、LFに新株を発行させることなく、フジテレビはTOBをしました。
それだけなら、何の問題もありません。思った程の株が集らなければ、条件・時期を変えて、またTOBをかけ直せば良いだけのことです。

ところが、TOBがうまく行かないと分かったとき、フジテレビはTOBの途中で新株予約権をLFに発行させました。この業界の定跡、それもかなりアコギな定跡のさらにはるか斜め上を行く行為です。(しかも、再TOBはしないと高らかに宣言しています)

お前らな、そこで3000億も用意できるなら、株を集めるために使えよ。堀江の予算なんて、800億そこらじゃねえか。堀江に儲けさせるのが嫌だったら、TOBより先にやっておけよ。それも、予約権じゃなくて素直に新株で出せ。

アメリカだか、EUだかでは、TOBの期間中に、他の方法で株式を取得することは禁じられているらしいです。理由ははっきりとは分かりませんけど、TOBを有利に進めるために株価を下げるような行為を許してはならぬ、という面はあります。(大株主の異動を事前に明らかにするためにTOB義務がある、という程度かもしれませんけど)
株価が高騰したタイミングで発表したので、株価下落を狙ったと言われても当然でしょう。

フジテレビが事前に新株を出さなかった理由、新株ではなく新株予約権で出した理由は、キャッシュアウトをケチった以外考えられません。事前にやることをやって、買占めに対抗し、公共性を守るのは、取締役の仕事です。自分が下手を打った所為で公共性を危機にさらした張本人が、あんな偉そうな顔で支援を要求するのは、どうしても許せません。これだけ周囲に迷惑をかけている奴が「メディアの公共性」を語るなんて、莫迦にするにも程があります。(少なくとも他人に物を頼む態度とは思えません)
日枝氏は、自分の地位を守るためなら、株式市場(ひいては日本経済)を破壊しても構わないと思っているのでしょうか? それだけの事をしているという自覚はないのでしょうか?