シリーズ3そもそも「株式」って

何か、他にもいろいろと事件はあったような気もしますが、面倒くさくなってきたので本題の第三者割り当て増資にとっとと進む事にします。
とは言っても、前置きとしてそもそも論「株式・株式会社って、何?」から始めるんですけど。


事業を行うのにそもそも「会社」である必要はありません。商法の原則はむしろ個人事業です。
ただ、個人事業だけではいろいろと限界があるため、会社のシステムが法的に整備された訳です。

  • 事業主が死んだらどうなるか

 事業自体の相続とか、いろいろと面倒な事が発生します。そのため、事業だけを切り出して、特定の個人とは別の物とする必要が生じます。
 同じ起業家が、別の事業で失敗した場合への影響、などもこれと同様です。
 そのために「法人」「会社」というシステムが必要になります。
 事業主個人と別に、取引主体として法律上で人間扱いするから「法人」という訳ですね。「会社」は「法人」の代表的な物です。

  • 複数のスポンサーがお金を出し合う場合に、どのように責任・利益を分けるか

 ある程度大きい事業になると、一人の資金では立ち上げられません。そこで、複数の事業主がお金を出し合う事になります。
 当然、事業がうまくいく事もあれば、失敗する事もあります。特に、うまくいった時に利益をどのように分配するか、という点については事前にしっかり決めておかないと、後でもめる事になります。特に面倒なのは、途中で新たな出資者が加わった場合です。
 最初に立ち上げたメンバーの間では、利益も出資額に応じて比例配分すれば良いでしょう。しかし、途中から入ったメンバーとの間では、そういう訳にいきません。
 事業が失敗する可能性の高い初期に出資した「1万円」と、ある程度事業の方向性が見えてからの「1万円」では、前者の価値の方が圧倒的に高いと言えます。逆に、潰れそうになってから起死回生の勝負に賭ける「1万円」は、初期の「1万円」より価値があるかもしれません。
 同じ「1万円」を公平に評価するためのシステムが必要になります。それが「株式」「株式市場」です。
 「株式」は説明が面倒なので、後で詳しく書きます。

  • 大きい事業を誰が経営するか

 個人事業であればその個人が経営する訳ですが、大きい事業に大勢が出資すると、出資者全員でいちいち合議なんて出来なくなってきます。
 そこで選挙で代表者を決めて、その代表者に経営させるという方法をとる事になります。もちろん選挙は、1人1票ではなく利益配分と同様に投票権も比例配分することになります。
 代表者も、別に出資者自身である必要はなくて、経営の能力のある人間を雇う事になります。
 これが「取締役」です。そして、出資者以外が経営に参加できる制度を「資本と経営の分離」と表現する事もあります。
 「株主」(=出資者)が「選挙で」、「優秀な」(と思った)経営者を「取締役」として選ぶ、という点を押さえておきましょう。


 このエントリーで「株式」まで書くつもりだったんですが、長くなったし疲れたので、次に回しましょう。
 今回は「株式会社」だけの回という事で。