本音と建前

私が社会人になるずっと前から「大人は本音と建前を使い分けて、ずるい」みたいな話がありました。正直、自分は高校生ぐらいから「社会に出たくない」と思っていました。
しかし力及ばず、仕方なく社会人になり、法学部出身というだけで(会社法など全く勉強していなかったのに)法務部に配属されて、見方が変わりました。
「建前って、案外意味がある」
確かに、建前だけ見ても、行動の予測には全く役立ちません。本心は間違っても(笑)建前の中には存在しません。
でも、建前がないと、人(会社)の行動に歯止めがかかりません。そして、歯止めがなくなったとき、人(会社)はとんでもない行動をとり、そしてそのとんでもなさに気付かないこともあります。
そうなると、外的圧力で止めるしかなくなります。
実は、法は、建前の部分しか評価できません。それでも法が意味を持つのは、建前が守れる間は致命的な破滅を招くことはない、という経験に裏打ちされていることによります。
「適正な」建前さえ維持できていれば、裁判所に違法行為との評価を受けて恥ずかしい思いをすることはないはずです。

という事を、isologueさんのエントリー(http://www.tez.com/blog/archives/000391.html)を見て思いました。

今回の地裁のニッポン放送新株予約権発行差し止めの仮処分とこれまでの経緯を考えて、他の企業への教訓(法律的にというよりも、主にコーポレートガバナンスやIR的に)としては以下のような感じでしょうか。

磯崎先生は法律がご専門ではないようなので、IRやコーポレートガバナンスというレベルの話と限定していますが、ここで挙げていらっしゃる問題点を解決していれば、法的な問題も解決していたのではないかと感じます。

まず
>「株主のため」というスタンスを強調
していれば「既存株主排除」の讒りは受けません。ライブドア憎さの余り、これまでの「ニッポン放送ファン」株主を犠牲にする手段をとったことが、今回の仮処分につながったと考えられます。
>「排除的」「抑圧的」な買収防衛策でないことを強調
も同様と思います。

既存株主を守る為なら、
>実際に買収者側の言い分を聞く
ぐらいのことは、感情に流されずにこなすべきでしょう。

>スキームにもうひと工夫は?
ともお書きになっていますが、先に新株を発行しておくなどの手段をとらなかった事などの「建前」をしっかり考えておけば、もう少し整然とした対応ができたと思います。


そして、まともな建前すら作れない会社・建前の維持すらできない会社は、見る人が見れば
http://axel69.269g.net/article/103293.html
てな感じで「お前らのやっている事は……全部お見通しだ!!」ですね。
(もっとも、他のマスコミがバッシングしているとは、私は思ってません。フジサンケイグループが商法に対して売った喧嘩の派手さに比べれば、甘い甘い)


といったところで、「思います」だらけの「法務部員愚痴ブログ」からisologue様へ、ビールの力を借りて、トラックバック!!