新株発行価額の決め方

ここまで説明したことから言えば、新株は時価で出す、つまり前日の終値で出さなければおかしいという事になります。
でも実際は、前日の終値で新株を出すケースなんてほとんどありません。何故でしょう?

三者割当増資をする最大の理由は、スピードです。欲しい時にサクッとキャッシュを出してくれる会社(人)だからこそ、新株を出す意味があります。
当然、お金を出す方も、いろいろな事情を考慮して、出資するかどうかを判断します。もし、新株の発行価額がギリギリまで決まらないとすると、決断もできません。

そこで、検討中にちょっと位株価が変動しても、発行価額が急に変わらないようにするルールがあります。

一定期間(2〜3ヶ月だったかなあ)の終値の平均より高ければ、決定直前の株価より安くても、OKということになっています。

さらに、増資の噂を聞いてから株価をつり上げようとする、火事場泥棒的な動きへの対抗策も用意されています。
長期保有を目的としない株主による大量の買いが株価上昇の原因となっている場合は、その株価上昇の起きている期間は平均の算出時に除外できることになっています。

逆に言えば、それ以外は、株価の急騰した場合に急騰した後の株価を基準にしなければならないということでもあります。


ついでに、今回は新株予約権なので、そちらの説明も片付けてしまいましょう。どうせ詳しくないし。

新株予約権とは、好きな時に、最初に決めた発行価額で新株の発行を受ける権利です。
株価が上がれば、新株の発行を受けて市場で売却できるし、株価が下がれば、新株の発行を受けなければ追加の支出はありません。その意味で、通常の新株発行より有利です。

その性質上、時価よりは高く発行する必要はあります。株価が上がったのを見てから、それより安い価額で発行を受ける権利なので、通常の新株発行より高く発行するのでなければ、既存の株主の不利益になってしまいます。

ちなみに「どの程度の上乗せをすれば良いか」については、それなりの計算方法があるらしいです(何で俺がそんな事を知ってるんだ)。わかりにくい指標ですが、何もないよりはまし、という感じですね。