そもそも株式

 で、株式の性質の解説をする訳です。なんか前にもこのタイトルを書いたような気がする、と思ったら、ありました。
そもそも株式 - べーの日記でも、今回問題にしたい点には触れてませんでした。
 むしろ、こちらシリーズ3そもそも「株式」って - べーの日記の方が近いですね。

* 複数のスポンサーがお金を出し合う場合に、どのように責任・利益を分けるか
 ある程度大きい事業になると、一人の資金では立ち上げられません。そこで、複数の事業主がお金を出し合う事になります。

 さて、問題は、複数の事業主の誰かが「早く投資を回収したい」と言い出した時にどうするか、という点です。「株を売る」というシステムがなかったら、その1人のために事業全部を売却処分するか、早期の回収を諦めさせるか、どちらかしかありません。そうなると、株式会社への出資のハードルが上がってしまい、「多数の出資者から資金を募る」という目的に反します。
 「売る事ができる」という特徴は、株式の本質です。会社の価値が低下して株価が下がるのは仕方ありませんが、それでもとにかく「会社の価値×持株比率」の現金に換金できること、それができなければ株式ではありません。

 といったところで、今日はもう寝ます。続きは近日中に書きます。

前置き

 昨日のエントリー新株予約権差止R - べーの日記で「建設予定地」とか書きましたが、1エントリーにまとまらない気がしたので、新カテゴリにします。
 なお、裁判所の判断は猪木法律事務所/弁護士猪木俊宏で見やすく整形されています。
 解説のターゲットは

 「これらの見解は要するに,権利落ち日以降に債務者株式を取得した株主は,その持株比率が約3分の1まで希釈されるリスクを負担することになるが,将来において20パーセント以上の債務者株式を取得する買収者が登場するのか否か,また,いつ登場するのか,さらに,その場合に取締役会が企業価値の最大化のために新株予約権の無償消却を行わない旨の決議を行うか否かは,現時点では著しく予測困難な事象であること,したがって,そのリスクを合理的に算定することは困難であり,合理的な投資家であれば,こうした重大なリスクを内包した株式への投資には慎重になると考えられる結果,既存株主にとっては市場において高い評価での売却の機会を失うことになるというのであり,こうした判断は合理的ということができる」

 という部分です。うまく書けると良いのですが。

新株予約権差止R

建設予定地のみ確保
経済、株価、ビジネス、政治のニュース:日経電子版
自信はなかったものの、怪しいとは思ってました。でも、裁判所であっさり「ダメ」が出るとは思わなかったので、意外でした。
とはいえ、株式の基本原理を無視したものではあるので、裁判所が間違ってるとは思いません。その辺を、前にTOBの解説を書いた時のように粘着質な書き方で書きたいと思ってます。

(6/2深夜追記)
 1日分のエントリーでは狭いような気がしてきたので、内容は別エントリーにします。

文化庁による著作権侵害

文化庁サイトにMac OS Xのアイコンが? - ITmedia NEWS
かなり話題になってますね。皮肉な事件なので、当然とも言えますが。
原因が振るっています。
文化庁、アイコン無断使用認める アップルに謝罪 - ITmedia NEWS

 文化庁の担当者は「言い訳にしかならないが、アイコンは仮のデザインで、修正する予定だった。しかし締め切り直前になってシステム全体に大きな変更があり、修正を忘れてしまったようだ」と話している。

仮のデータの差換えを忘れているという事は、他にもチェック漏れが残っていると考えるべきでしょう。その意味では正しい対応だったと思います。

気の毒なのは、立場が微妙過ぎて、分りやすい声明が出せなかったことです。

 同庁は、アイコンが著作物にあたるかどうかについては「判定するのは裁判所であり、文化庁には権限がない」とした。

 アイコン程度の大きさ、解像度のグラフィックデータでは、確かに著作物性の有無が判断し難いです。その意味で正しい対応です。ただ、この文脈では「素直に謝らず、見苦しい言い訳をしている」と見られてしまいます。気の毒としか言いようがありません。
 それでも、ここであまり素直に謝ってしまうと、後で「行政の分際で必要以上に著作物の範囲を広げた」と言われるので、行政としての誠意を示せばこうするしかなかったと思います。外注の使い方を誤った事を反省して頂くしかありませんね。

5/30深夜追記 試されてる文化庁‥‥今こそ真価を問われる時だ! - みうらゆうのうらはてブ『ちょびっと試される。』に詳しい経緯が書かれています。そちらで経緯を知ってから上を読み返していただいた方が、何を言ってるかわかりやすいと思います。

対立項の設定

ネットとリアル - おれはおまえのパパじゃない
そこの人、「またかよ」とか言わない!

いい加減その、「ネットはリアルより下」って考え捨てろよっ……!

この文脈でほ「ネット」の対立項は「リアル」でほなく「地上波」ではないか、という突っ込み(茶々入れ)を我慢することができませんでした。
ただ、いずれにせよ、「地上波」と「ネット」の上下関係を論じてる間はネットラジオの進歩はないのでしょう。
あと、地上波が「リアル」面してる、という事実も分析の価値がありそうですね。

数独の歴史と意義

http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050524201.html
何か滅茶苦茶話題になってるみたいですが。

嘘を嘘と見抜ける方々はもうぐぐって見付けている事と思いますが、数独は元々米国のパズルです。
http://www.nikoli.co.jp/puzzles/1/index_text-e.htmより

History
Sudoku Puzzle is not our original puzzle. We found this puzzle in American puzzle magazine, titled "Number Place" And we introduced this puzzle to our Japanese readers at 1984. First our title of this puzzle is "Suuji wa dokushin ni kagiru" It's means that number is limited only single (unmarried). But this title is too long, then it was abbreviated as "Sudoku". So "SU" means number, "DOKU" means single.

つまり数独以前に、米国のパズル誌に「ナンバープレース」があり、それを日本に持ち込む際にニコリが「数(中略)独(後略)」という名を付け、それが定着して略称「数独」となった訳です。

なのに、上記のwiredの記事には、

今、日本生まれのパズル『Su Doku』[数独、日本ではナンバープレースナンプレなどとも呼ばれる]が大人気だ。

とか書いてあって、正直イタいです。
ナンバープレース」の方が一般名詞で、「数独」はnikoliが付けた名前なのです。つーか、元々英語で「Number Place」な訳ですよ。それを「日本では」ナンバープレースとも呼ばれるって、どーゆー事ですか?
こんな事も分らん奴にパズルネタで記事を書いて欲しくない訳ですよ。ニコリスト歴15年を数え、ニコリダービーで1着を取った事もある人間としては。

元々米国にあったNumberPlaceが話題にならず、日本経由のものが英米で流行した、という事実に奇妙な感慨を覚えます。

ナンプレでなく数独が、つまりニコリのパズルの魅力は、その解き味にあります。他社のパズルが賞品で読者を集めようとしている中、ニコリは大して賞品を出さなくても、固定ファン層を確保しています。それは、パズルを解く行為自体に価値を見出しているからです。ただ問題として成立しているだけではありません。適切な難易度表示と、適切なペースで空白が埋まっていく快感にこそ真随があります。

そこが理解されないまま流行しても長続きしないと思います。というか(俺的には)粗悪なまま普及定着してしまうと、正直悔しいです。どうなることでしょう?